「俺がここまで運んだんだよ。」



彼はそうドヤ顔で言ったが、空には星が光っている。少し寒い。



「どうして保健室じゃなくて、屋上?」



そうたずねると、彼は、



「保健室のベッドが空いてなかった。」


と、無表情で返した。



一応礼を言ったが、彼は答えず、空を見ていた。



「見てみ。星、出てる。」



変な人だなぁと思いつつも、しばらく並んで星を眺めてしまった。


星なんて、すぐに見飽きるだろうと思っていたのに、その澄んだ光に、心を奪われてしまった。