あの日から、なんとなく理科の勉強を頑張った。

いつも理科は、テスト前に、補習を受けさせられるのだが、それに呼ばれなくなった。



テスト直前のプレテストで、80点台をたたき出したのだ。いつも、50点より上が取れれば奇跡の私にとって、ものすごい快挙だった。



その私の急な頑張りに、いつもお世話になっている理科の先生は驚いた。



「如月!お前、最近どうした?やけに頑張っているな。」



おじいちゃんみたいな、優しい喋り方をするその先生が、私は好きだった。



「はい!頑張ってますー!」



「なんだ?何かあったのか?」



先生は、まぁまぁ分かってるよ、とばかりに笑む。



「えー!私、何もなくても頑張りますよぉ。」



「まぁ、英語の成績はいいみたいだけどな。理科はいつも赤点じゃないか。しかも、今回は天文分野だろ。お前の苦手なところだったじゃないか。」



確かに、去年の天文分野は、かなり手こずって、補習を受けても、なかなか結果が出なかった。



それで随分、先生の頭を悩ませたものだ。