事故が起こって、数週間が経った。 春川君も、春川君を轢いた大学生も、まだ目を覚まさなかった。 だからか、ニュースで取り上げられたり、大きなカメラを持った人が学校に来たりした。そのたびに、みんな一度は沸くのだが、すぐに悲しい表情に戻った。 春川君が死にかけているのに、自分たちが笑ってはいられない、と思ったのだろう。 それもそうだ。 だが、今の私に、悲しい気持ちはない。 彼がいてもいなくても、私の世界は変わらない。