よろしく、とは言ったものの、その後彼と顔を合わせる機会はなかった。



1組から3組までが2階で、4組から6組までは3階で階数も違ったので、廊下ですれ違うこともなかったのだ。



今の今まで、彼のことなどすっかり忘れていた。でも、名前は覚えている。



春川 彗星くん。



黒髪で、目が綺麗で、多分、星が好きな男の子。初対面の私とも、普通に話せていたのだから、クラスのムードメーカーというのもうなづけた。



けっこう整った顔立ちをしていたから、彼に恋心を抱いていた女の子もたくさんいるだろう。



彼と同性の友達だって、たくさんいるに違いない。



そんな彼が今、意識不明の重体とは……。