「あ、そういえば、名前は?」



お礼を言いつつも、まだ名前も知らなかった。



「2年6組。春川。」



「春川君ね。下の名前は?」



「彗星。」



はっとした。
幻の彗星が、目の前をよぎった気がした。



「彗星…。あはっ、ぴったりな名前だね!」



「……そっちは?」



「あ、私は、2年1組。如月 舞羽 (きさらぎ まう)だよ。」



「舞羽?へー、いい名前。よろしく。」



にかっと笑うと、八重歯みたいな横の歯が、ちらりと見えて、ドキッとする。



それが、彼と私の出会いだった。