…薄汚い笑い声が耳に入る。不快としか言いようがない。

やっぱり男は、女を殴って当然の生き物。女は、殴られるのが当たり前なんだ。


叩かれた頬が、熱を持ってひたすら痛む。


あの記憶がフラッシュバックしそうなくらい、脳にも重く響く。

手を上げられることに慣れてはいても、この痛みに慣れることなんてない。


─それでも。

これは自分で蒔いた種。


覚悟の上で深瀬くんを好きになるって決めた。


まだ好きでもないのに、なんでこんな目に遭わなきゃいけないのって思う自分もいるけど、こうなることをわかっていても好きになるのをやめなかったんだから。


深瀬くんに恋をすることが、今のわたしには生きていく最大の糧になっているから。


どんなことをされたって耐えるんだ。それしかわたしにはない。

抗う必要もないんだ。


「…わたしに何をしたって、深瀬くんはどうもしない。例えわたしが死んだとしても深瀬くんは何も思わないから、深瀬くん狙いでわたしを相手にしたって無駄だよ」