「深瀬!お前…」

「つーか緑川!何勝手なことしてんだてめぇ!」

「別にいいだろ。女相手にキレるなんてだっせぇな」

「このやろ…っ」

「だっ!ダーリン!わたし…」

「うるっせぇな淫乱女!」

「いっ、淫乱?!」

「お前みたいな女は色んな男に言い寄ってんだろ!このアバズレが!」

「はあ?!そんなわけな…」

「節操なく男に媚び売ってんだろうが!くっだらねぇ!んなことして何が面白ぇんだよ!マジで失せろ!」

「てめぇ!!」

「─やめて」

「──っ」

「「「──」」」


自分でも、驚くほど凛とした声が出た。


ここまで侮辱されることを言われたら、返す言葉もない。


きっと今のダーリンには、何を言っても伝わらない。


「咲良…」

「わたしはダーリンだけだよ。他の人なんて興味ない。…帰るね。また明日ね、ダーリン」


力なく微笑み、軽く手を振る。


苦いような空気を残したまま、背を向け歩き出す。


今日は大人しく帰ろう。

これ以上は言い訳がましくなってしまう気がするもの。