あれれれ?これはもしかするともしかするんじゃ…。


「つーか、今の逢川の兄貴か?」

「─え?」


不意に赤城くんがわたしに問いかけた。

予想外の言葉に、思わず空気を止めてしまった。


い、今の、って…。


「今話してた、女といた男」

「…見たの?」

「ばっちり」


やだ、見られてたんだ。最悪…!!


「か…、会話は」

「聞いてねぇよ」


──よ、良かった…。


心の中で胸を撫で下ろす。

会話まで聞かれていたら、本当に最悪だった。

って、いくらなんでも兄弟なわけないじゃん。確かにお父さん、若い方だとは思うけど無理があるって。


「すげぇ男前だったよな」

「え?どこが…」

「まさか元カレか?!」

「はあ?!ちが…」

「違うだろ。ちゃんと見たのかよ。逢川になんとなく顔似てただろ」