あら、手を凝視したまま固まってる。顔ゆでだこだよー!


あまりの可愛さに深瀬くんの頬をつついてみた。


「ダーリンッ」

「──!!はっ、離せ!!」


意識が戻ったらしいダーリンは、手をぶんぶん振ってほどこうとする。


これ、はたから見たらバカップルみたいじゃない?!


あははは!楽しー!


「照れなくていいじゃん!恋人同士は手を繋がないと!」

「だっ!!誰が恋人同士だ!!ふざけんじゃねぇよ!!」

「あっ!」


勢いよく手を離され、深瀬くんはダッと走り出した。


「アバズレ女!失せろ!」

「待ってダーリン!」


負けじとわたしも慌てて走り出す。


今日は逃がさないんだから!あのおっきなバイクに乗せてもらうんだから!


これでも足には自信があるんだよ!本気で走ればそれなりにイケるのよ!

わたしから逃げ切ろうったって、簡単には…


「咲良?」