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「ダーリン!」


なんとなくいつもより足早なダーリンの背中に、また無駄に大きく声をかける。


待ち遠しかった放課後。ついにきましたよこの時が!

急接近を望める絶好のチャンス!


駆け寄りダーリンを見上げると、心なしかほんのり頬が赤く染まっているような気がした。


というか、そうであってほしいと思った。


「ねぇ、いくらわたしだってそこまで無視されると辛いものがあるよ。今日、何度呼んだかわかる?何度へこんだかわかる?心が折れそうだよ。朝、ちゅーしてから…」

「黙れ!!」

「──!」


び、びっくりした!


急に怒鳴るなんてさすがに驚きますよ!普段より迫力が増してるし!

怒鳴るなら先に報告してからにしてほしいな、まったく。


「てめぇマジで訴えるぞ」

「訴えられるほど悪いことなんてしてませんよ」

「ふざけんな!お前、俺に何をしたかわかってんのか?!」