と口元を手で抑えながらにやけていたら、森野からぽいっと紙が放られてきた。


ん?なんだ?


折り畳まれた紙を開くと、男っぽい字で

『放課後、話がある』

と書かれていた。


…これはもしかしなくても森野からだよね?あといないか。

森野って、手紙なんてこじゃれたことするんだ。意外。


なんて思いながら、

『放課後は予定があるから無理!』

と書いて森野に返した。


放課後は今日もストーキングするんだもんね!

今日は特に!絶対ダーリンにもっと近づくの!


ていうか近づけるはず!さっきのちゅーでだいぶ進展したはずだから、ちゅーの余韻があるうちに距離を縮めないとね!


ってことで森野の相手はしてられんのだよ。

悪いね。タイミングが合わなかったってことで。


森野はそれ以上なんの反応もしていないのに、わたしは森野の背中に向かって一人、心の中で適当に謝罪していた。


──森野がどんな気持ちでいるかも知らないで。