赤が、真剣にわたしを見据える。


さすがに即答はできなかった。

まさか深瀬くんが、それほどのレベルにいる人なんて。


「それだけ深瀬は危険な奴なんだ。俺にしとけよ」

「おめー、どさくさに紛れて何口説いてんだよ!」

「いってぇな!」


緑が黄色を叩いて、思わず吹き出しそうになる。

この二人、テンポの良さが半端ない。


「怖ぇなら逃げろよ。んで金輪際俺に近寄るな。俺はお前を守る気なんてくそもねぇからな」


また、あの目でわたしを見る深瀬くん。

冷酷非情な漆黒の目で。


…でも。


「逃げるわけないじゃん!ダーリンと一緒にいたいもん!」

「…」

「すげ。肝据わってんじゃん」

「深瀬、お前の女やるな~」

「やっぱり俺の女になれよ!」


自分で決めたことは揺らがないっ!

恋する乙女の鉄則よ!自分の身は自分で守るわ!


…とりあえず自転車で学校通おうかな…。