「ね、無視しないでよ!せっかく隣の席になれたんだし!」

「…ストーカー」

「ストーカーでもなんでもいいからさ、手紙の返事くらい書いてくれても良くない?それどころか見もしないなんてひどいよ!」

「つーか話しかけんなよ。特に学校で」

「え、なんで?」

「めんどくせぇ」

「ちょっとくらいいいじゃん!隣の席なんだし!もう運命だよね!わたし達、赤い糸で結ばれてるんじゃ」

「うるせぇな」

「…あ、そういえばダーリンって意外と真面目だよね。無遅刻無欠席だし、授業はほぼ出てるし。何か理由があるの?」

「普通だろうが」


お、深瀬くんに「普通」が通じるのか。


「見た目に似合わなくて。深瀬くん不良でしょ?」

「知らねぇよ」

「え、違うの?」

「…」

「もう、だから無視しないで…」

「とりあえず普通にやってれば親に会わずに済むだろ」

「…え?」


親に会わずに済む?って、どういう…


「くぉら深瀬!!」

「──」


ドスのきいた声が響いたと思ったら、進行方向を遮るように、あの信号機三人組が立ちふさがる。