「…わたしね、汚い自分を誰にも見せられないと思ってた。こんな汚い自分を知られたら、嫌われて見捨てられると思ってた。でも作り物じゃないわたしを必要としてくれる、たった一人の人、ずっと求めていたの…」


言葉を詰まらせ、両手で顔を覆う逢川。

お前もたった一つ、欲しいものがあったのか。


なぜかどうしようもなく、逢川を抱きしめたい気持ちでいっぱいになった。


顔を上げ俺を見つめた逢川は、一言、俺に問いかける。


「…深瀬くん。好きになってもいいですか?」

「──。」


今更だと心底思った。


でも改めて口にするってことは、これが逢川の本心なんだろう。


…本当の逢川。


俺にとってはどれも全てが本物だ。

どんなお前でも、俺は必ず受け止める。


汚いだとか黒いだとか、そんなの一切関係ねぇ。


お前が求めていたものが俺なら、それ以上のことはない。

お互いがお互いを求めていたのならなおさらだ。


なりより、俺にはお前が、唯一無二の存在なのだから。