「…え…」

「お前がさっき言ったこと、俺も同じように考えてた」

「さっきって……。う、そ…」


まさか俺の口からこんなに素直な言葉が出てくるなんて。

自分で自分に驚いてしまう。


「俺も好きだとかそんなんわかんねぇ。けどお前と一緒にいたいと思う。俺には、お前が必要だと、思う」


例え全てが嘘だったとしても、どんな時でもお前は俺を見捨てたり裏切ることはなかった。


──お前は俺がたった一つ、求めていたもの。


「…わたしの黒い部分を知っても、そう思うの?」

「お前の黒さなんて、俺にしてみれば黒くも何ともねぇ。お前より黒い奴なんか、そこら辺にいくらでもいる」

「そんな…。だ、だってわたし、友達にも平気で嘘つくし、都合の悪いことは隠してるし、深瀬くんを利用する気で近づいた…」

「でもお前は、誰も見捨てたりしねぇ」

「──っ」

「俺は単純にお前が死にたがってるって聞いた時、嫌だと思った。お前が本当に消えたりしたら、『消えろ』と言った自分を一生恨み続ける。黒かろうが汚かろうが、俺にとってお前はお前だ」
  

むしろあの環境下で育ってきたなら、今の逢川は黒いどころか白に近い。

俺の目にお前はそう映る。