「深瀬くんに近づいたら殺されるかもしれない。深瀬くんの近くにいれば、死ねるかもしれない。そんな淡い期待を抱いて、何を言われてもめげずに何度も深瀬くんのそばにいようとした」

「…お前…」

「さすがに自殺はできなくて。何度か試みたこともあったけど、どうしてもできなくて。深瀬くんを利用しようとしたの。ごめんなさい」


またも俺に向かい、深く頭を下げる逢川。


「…ふざけんなよ…」


謝ってんじゃねぇよ。

お前が謝る必要なんてねぇ。


だって、怒りなんておかしいくらい、少しも沸いてこねぇんだよ。


嘘をつかれて裏切られた気になりそうなもんなのに、不思議なことにお前の為になら、利用されてもいいとまで思っちまう。


お前の為に何でもしてやりたい。

俺にできることなら、何だって…。


「怒って当たり前だよね。もちろん、恋をしてみたくて深瀬くんに近づいたってのもあるよ。好きって言っているうちに、本当に好きになっているような気がしてた。でもやっぱり、『好き』って言う感情、わたしいまいちよくわかんないんだよね」


涙を拭い、逢川は無理やり愛想笑いに似た顔を見せる。