「…それが原因か」


休学の理由を知り状況は飲み込めたものの、納得なんてできなかった。


逢川は親の為にいるのか?

違うだろ?

どうして逢川は自分の好きなように生きられないんだ。

いくら未成年だからと言って、ここまで親に縛られなきゃいけねぇなんてこと、ねぇだろうが。


「お父さんを殺してしまいたかった。お母さんなんか死ねばいいって、ずっと、いつも思ってた。心の中で何度も何度も二人を殺した。だけど、一番いなくなればいいのはわたしなんだよね」


─……。


「わたしが死ねば、わたしがいなくなれば、二人は変わってくれるかもしれないから…」


─頬を伝う涙。

その辛さを鮮明に物語る。


情けないことに俺は言葉が出て来ず、ただ聞いているしかなかった。


何か、何でもいい、どうにか逢川を救えたら──。

そう思っても、呆れるくらい何も考えつかなかった。


「だから深瀬くんに近づいたの。深瀬くんが噂通りの人なら、わたし死ねるって」

「──っ」


それを望んで、お前は…。


─前に一度、逢川を追い払おうとして首を絞めたことがあった。

その時、こいつは笑った。


当時は気味が悪かったが、理由はこれだったんだな。

…そこまでお前は追いつめられていたのか。


心臓がぎゅっと痛んだ。