「俺の後ろがそんなに最高か」

「ん?なんだ森野か。残念だけどそれはないから」

「なんでだよ!」

「窓際の一番後ろが最高なだけです。あしからず」

「素直じゃねぇな~」

「とんだ勘違いですよ、森野さん」


言いながら座席を移動。

わくわくして机を設置し、ストンと椅子に座る。


席が替わったことで、教室の雰囲気は新鮮味を増していた。

体全身がうずうずする。


にやけそうになるのを抑え、口を手で隠して隣をチラ見する。

そこにはいつものようにやる気ゼロの上、不快そうな深瀬くんが。


きゃーっ!


これ、運命だって!

絶対運命だってば!


深瀬くん、やっぱり君はわたしの恋の相手に間違いないっ!


「深瀬くんっ」


口に手を添え小声で深瀬くんを呼んでみる。


「…」


一瞬だけ顔を向けた後、しかめっ面をしてため息をつかれた。