「逢川…っ」


階段のすぐ横にあるドアを開ける。

真っ先に目に入ったのは、机に向かい勉強をしているような逢川の姿。

ゆっくりと俺に向かい振り返った。


「…あれ?深瀬くん、どうしたの?」

「……」


なん、だ、こいつ…。


「もう退院したの?早かったね、おめでとう」

「…」

「ごめんね?あれからお見舞い行けなくて」

「…」

「もしかして退院早々会いにきてくれたとか?それとも…」

「なんだその顔」

「……え?な、なんだその顔って、ちょっとひどくない?女の子に失礼…」

「何なんだよこのありえねぇ怪我は!!」

「──っ!」


左目には眼帯、頬は赤や青に染まった痣だらけ。

掴んだ腕、服の袖から見える手首にも、大きな痣。


「誰にやられたんだよ」

「…深瀬くん…痛い、離して…」

「誰にやられたんだよ!!」

「……深瀬くんには関係ない」


俺には関係ねぇだと?


「関係ある、ないじゃねぇ!それこそ関係ねぇ!つーか休学ってなんだよ!」

「…休学は休学。学校をお休みするの。わたし学校で勉強するより家でした方がいいみたい。学校、元から好きじゃないし、自分の部屋だとはかどるんだよね」

「……」


こいつ…。