「ねぇ圭悟。家に戻ってほしいの。自分から追い出しておいて言えたものじゃないけど、あの家に一人でいるのはあまりにも寂しくて…」

「それはいくらなんでも無理だろ。あそこからガッコまで、どんだけかかると思ってんだよ」

「そうだよね…。学校、楽しい?」

「あ?」

「わたしが無理やり決めて行かせた学校だから、もし不満があるなら今からでも圭悟が行きたいと思う学校に転校しても」

「何勝手なこと言ってんだよ。あのガッコを卒業しろって言ったのはてめぇじゃねぇか」

「それは…」

「俺はあんたの寂しさを紛らわす為にいるんじゃねぇ。勘違いすんな」

「──。ごめんなさい…。焦りすぎだね、わたし。あまりに嬉しくて…。そうだよね、圭悟は今の学校、楽しんでるんだもんね。可愛い咲良ちゃんって彼女もいるわけだし」

「ぶっ─!」


かっ、かかか彼女?!

何言ってんだっ!あほか!


「咲良ちゃん、すごく圭悟のこと好きなんだね!わたし一瞬嫉妬しそうになったけど、咲良ちゃんには勝てる気しないわ。圭悟ったら女の子を見る目、しっかりあったんだね」

「ちがっ…!あっ、あいつはそんなんじゃ」

「わたし咲良ちゃんに怒られたんだよ?怒られるってほどではなかったけど、わたしが圭悟のことを相談したら、『最低』って。『辛い思いをしてるのは深瀬くんです』ってはっきり言われたの」