「…出てけよ。んな話なら聞きたくねぇ」

「ずっと、ずっと謝りたかった。取り返しのつかないことをして、本当にごめんなさい」


横目であいつが頭を下げているのがわかった。

深く深く、腰が折れちまうんじゃないかってくらいに。


なんでてめぇが謝ってくんだよ。謝らなきゃなんねぇのは俺の方だろうが。

だから俺は更に素直になれなくなるんだ。


「謝ったから気が済んだだろ。帰…」

「圭悟!わたしのこと、嫌い?!」

「─はあ?!」


突然俺の横に接近してきたかと思えば、何言ってんだこいつ!


「憎くて恨んでるかもしれないけど、嫌ってはいないよね?!」

「しっ!知らねーよ!馬鹿じゃねぇか?!んなことどうでもいい…」

「わたしは圭悟を愛してる!」

「──!」


なっ!何なんだ?!

あ、あい?!


よく恥ずかしげもなく言えるな!

聞いてるこっちが恥ずかしいっての!


「わたし圭悟を傷つけるようなこと、たくさん言ったと思う。言い訳なんてできないくらいに。でも圭悟は大切なわたしだけの息子なの!あなたを愛する母親の気持ちだけはわかって!あなたを二度と傷つけることなんてしないから!お願いっ…!」

「…知らねーよ…」


さっきから聞いてれば、言ってることおかしくねぇか?

俺に会いたくなかったんじゃねぇのかよ。

俺を嫌ってんのはそっちだろ?

憎くてたまらなくて、恨んで、許せないと思ってんのはそっちじゃねぇか。


なのに謝ってくるなんて…。