「怒っているのは重々承知しているし、許してもらえないのは当然だと思っているけど聞いてちょうだい。圭悟、わたしはあなたを忘れたことは一時もない。大切な息子だと心から思ってる」


逢川と森野が病室を出ていき、室内は母親と俺の二人きり。

それもこの場を作ったのは逢川だって言うから、余計にムカついてしょうがねぇ。


いつの間に知ってたんだよ。誰に聞いたんだ?この女か?庄司の野郎か?まさか晋か?

誰にしろ裏でこそこそやりやがって、マジでムカつく。


この人は、俺に会いたくないってのに。


──それでも逢川の強引さに負けた。もしかしたら心の底では、俺はこうなることを望んでいたのかもしれない。

心の底ではこいつとちゃんと話す機会が欲しかったのかもしれない。

顔を見るのが嫌で、窓の外に目をやっていた。


……ぶっちゃけ、目を合わすのが怖かった。

こいつに傷つけられるのは、俺にとって一番の苦痛だ。


また罵られるんじゃないか。また責められるんじゃないか。

あの、壊れた恐ろしい目で…。


…馬鹿じゃねぇか?俺。

何ビビってんだよ、だっせーな。


ただの赤の他人だってのに。形だけの、上辺だけの母親だってのに。