「──」


お母さんの悲鳴と同時に、ガラスの割れる大きな物音。

一瞬にして血の気が引ける。


まさか──!


「やめてっ!ごっ、ごめんなさ……痛…っ!助けて…!」

「うるっせぇんだよ!!」

「お母さん!!」


慌ててドアを開けると、足元は割れたガラスが散乱していた。


これ、コップ?が割れたガラス?


「咲良っ!来ちゃだめ…!」

「っ!」


はっとし顔を上げると、髪を鷲掴みにされ壁に押し当てられ、顔を腫らしたお母さんが。


もちろんその相手はお父さんで──。


「クソガキ、引っ込んでろ」

「お父さんっ!今日はどうしたの?!」


こういった展開がちょっと久しぶりで動揺してしまい、間に入るのがいつもより遅れてしまった。

造り笑顔もいまいち良くできているかわからない。


最近大人しいと思ったら、今回は一体なんなの?


「咲良!だめ、逃げて!」

「ね、お父さん!わたし今回のテストでも上位だったの!国立大狙えそうだよ…」


──え。