「普通、首突っ込まねぇよ。こんなめんどくせーこと。大体、これだけひでぇ目に遭ってもなんで俺の周りうろついてんだか意味不明」

「だから何度も言ってるでしょ!ダーリンが好きだからだってば!」

「それがわけわかんねぇ。だとしてもここまでするかよ、他人の為に」

「他人以上の関係になりたいからだよ!その為ならなんだってできちゃうよ!」

「なんだって?なら俺が犯罪者だったらどうすんだよ」

「んー、他の人ならお断りだけど、ダーリンならなんでもいいよ」

「信じらんねぇ。どうしたって離れねぇ気かよ」

「もちろん!わたしから逃げられると思わないでね!」

「狂ってんな…。どんだけタチ悪ぃんだよ」


呆れるように笑う深瀬くん。


なんだかいい雰囲気な気がするっ!


「ダーリン大好きだよ!」

「うっ、うるっせぇな!お前って女は、はしたねぇことを普通に言いやがって…!」

「なにがあったって離れませんからね!もう諦めた方がいいと思うよ?」

「…お前なら地獄の果てまで追いかけてきそうだな。怖ぇよ」

「あったり前でしょ!ダーリン好きーっ!」

「だっ、黙れ!消えろ!」


──いつもと変わらず深瀬くんは乱暴な話し方なのに、なんというか穏やかなムードで優しい時間。

  
もしかして深瀬くん、わたしのことを好きになってくれているんじゃないか、なんて、錯覚してしまいそうになる。

それほどこの時間はわたしにとって幸せに包まれていた。


柔らかくて、暖かくて、愛しくて。


少しずつ落ちていく太陽が妙に切なくて。


この時間を永遠に閉じこめてしまいたいくらい。

こんな幸せもあるんだなって、深瀬くんといながら思っていた。

まさかわたしの恋がここで死んでしまうなんて、その時は微塵も思っていなかった。