「なっ、何言ってやがる!大体、俺は幸せなんかじゃねぇよ!」

「嘘つかないで!少なくとも前よりは幸せでしょ?前より心は晴れてるでしょ?」


泣いていることを隠す為、窓の外を見るふりをして深瀬くんに背を向けた。


不安でいっぱいだった。

深瀬くんに会うのが怖かった。


そんな今までの感情が一気に溢れ出て胸が熱い。瞬きをする度に涙がこぼれる。


「…よくわかんねぇけどお前に感謝したいって思うってことは、良かったんだろうな。あいつと話せて」

「わたしに感謝?」

「お前が無理にでもああして場を作らなかったら、俺は一生あいつから逃げてたはずだ。一生向き合うことなんてなかった」


…深瀬くん…。


「世話になったな。俺とあいつの問題なのに、巻き込んじまって悪かった」

「そんな…」


まさか深瀬くんからこんな言葉が聞けるなんて。

余計に泣けてくる。

わたしが一人でうだうだ悩んでいたのも、無駄じゃなかったんだなぁ。

嬉しい…。


「お前、変な奴だよな」

「え?なに突然。せめて特殊と言ってちょうだい」

「否定はしねぇのかよ。ほんと変わってるな」

「それなりに自覚はありますのでね」


って、せっかく人が感慨深くなってるってのにひどいじゃないの。深瀬くんったら。

ありがたいことに涙が引っ込んだわ。