「危ういっつーか、一番は深瀬の性格だな。あいつが素直なら話は早ぇんだ」

「深瀬くんの性格上で関係がこじれたの?」

「まぁ誰が悪いってわけじゃねぇんだよ。タイミングだったり気持ちのすれ違いだったり。その分こじれ方が複雑なもんだから、下手に動いたら取り返しがつかなくなる。他人がうまく動いた方が可能性はありそうなくれぇだ」


他人…。


「ねぇ、それってわたしじゃだめ?わたしに何かできない?」


わたしの問いかけに、晋は少し驚いた顔をした。


「お前じゃ他人すぎるだろ。事情も知らねーのに…」

「じゃあ教えてよ」

「…マジで言ってんのか?」

「もちろん。冗談で言うわけないでしょ」

「…教えてやってもいいけど、知ったところでどうすんだよ。ただの好奇心で聞いたって後悔するだけだぞ。ありがちっちゃありがちな結構ヘビーな話だからな」

「好奇心とかじゃないよ。聞いてもどうしようもないかもしれないけど、もし、もしもわたしにできることがあるなら力になりたい。微力でも何でもいいから、深瀬くんの為になにかしたいの」


深瀬くんとお母さんのことだと思ったけれど、わたしにも何かできるかもしれない。

知らなかったらできることもできないままで終わってしまう。

それなら例え無意味だったとしても、是が非でも聞かせて欲しい。


深瀬くんのお母さんと会っちゃったんだもん。

それも意味深な言葉まで聞いてしまったし。


「…ま、お前に何かできるとは思えねーけど」


そう言って晋はわたしに深瀬くんの生い立ちを話してくれた。