「その様子じゃ、あいつと母親の確執も知らねーのか?」


──!!!


「晋、知ってるの?!」

「そりゃあな。俺んちは深瀬家の情報が筒抜けなんだよ。じゃねーと仕事になんねーし。情報元は庄司だけどな」

「あ、仕事…。なるほど」


晋は知ってるんだ。二人の内情。

聞けば教えてくれるかな?って、聞いてどうするのよわたし。

わたしが深入りしていい内容じゃないってのに。


「施設のことは知らねーのに、母親とのことは知ってんのか」

「いえ、ほぼ知りません」

「あ?」

「仲が良くはないかな~くらいしか知らないよ。でもお母さんは深瀬くんと仲良くしたがってるよね」

「…てことはお前、まさかあいつの母親に会ってんのか?」

「え、会ってるっていうか、昨日初めて会ったんだよ。深瀬くんのお見舞いに行ったらお母さんが病室にいて…」


あれ、これって言ってもいいのかな?

特に口止めとかされてないし大丈夫だよね?


「…マジかよ…。庄司の野郎、報告しろっつーの。んで深瀬は?怒鳴ったり騒がなかったんか?」

「寝てたからね」

「あー、だからか。ったく、勝手なことしやがって」

「どういうこと?」

「あいつの母親は深瀬に戻ってきてほしいと思ってんだよ。けど言えねー立場だし、深瀬のあの性格じゃ母親の話を素直に聞くわけねーし、大体会うのも拒絶するだろ」

「あ~、顔も見たくねぇって言ってたもんね」

「だろ?だから周りでなんとかしなけりゃなんねぇから松平でも色々考えてるってのに、勝手に動いて今より悪化でもさせたら、二度とツラも拝めなくなるっつーの」


二度と顔も?


「そんなに危うい状態なの?」