「平和ボケ?!」

「お前がどうなろうと俺は実際どうでもいいんだよ!」

「どうでもいいって言いながら、さっき生存確認してたじゃない!」

「あれはお前の為なんかじゃねぇ!俺の為だ!」

「はあ?!どういうこと?!」

「事情も知らねぇくせに勝手に妄想してんじゃねぇよ!めんどくせぇ!消えろ!」


怒声を発した後、深瀬くんはわたしに向かい拳を振り上げる。


「──」


…なのに。


「…お前、怖くねぇのかよ」


その手はわたしにあたることはなく。


「なんで?怖くないよ」

「やせ我慢してんじゃねぇよ」

「やせ我慢なんてしてないよ。男は女を殴るものでしょ?」

「…」


目を閉じることもしなかったわたしを、深瀬くんは不思議にでも感じたのかな?

そんな顔してる。


どうしてだろう。


男の人が女を殴るのは、普通のことだよね?