助かる見込みなんてほぼなかったから、ものすごく嬉しい。ものすごくほっとした。

庄司さんがいるってことはもう大丈夫だよね。…ん?じゃあもしかして、庄司さんがヤクザさんと繋がってるってこと?

え?え?まさか…


「松平組四代目の坊ちゃんをここまでやるとは…。タダで済むと思ってねぇよなァ?」

「タダで済むもなにも、いいオトナがガキの遊びに暇だからって首突っ込まないでくれない?」


─澤田…。


いつの間にか水を打ったように静まり返っていた不良達。澤田だけが唯一怯むことなく淡々としていた。


「てめぇがアタマか?今時のガキは遊びのレベルが狂ってやがる」

「ガキの遊びにオトナが横槍入れる方が狂ってると思うけど」


澤田、怖くないのかしら。


よくヤクザさん相手にあんな挑戦的にものを言えるわ。しかも微妙に笑ってるし。

見ているこっちが危なっかしくて怖いってば。


「ケッ、ガキが。んなこと言ってられんのか?集団暴行に薬中の奴もいんだろ?あとは拉致監禁か?立派な犯罪者の集まりじゃねーか」

「表で生きていられないあんたらが言える立場じゃないだろ。大体、晋が持ち込んだ薬だってある」

「残念ながらうちの組はとっくに足洗ってっからカタギなんだよ。坊ちゃんがてめぇらに与えた薬なんざ、栄養剤がいいとこよ。それかあったとしても合法モノだ」


──え、てことは、わたしが前に一瞬打たれたあれは栄養剤…?


よ、良かったぁ…!!


いやしかしそのナリでカタギってのは無理があるのでは…。