皆がやり合っているうちに逃げようとも思ったけれど、深瀬くんを引きずってはどう考えても無理だし、ていうかこの乱闘の中、身動きがとれない。

さすがに体が深瀬くんの重さに耐えられなくなってきてる。


「ね、深瀬くん、この状況どうしたらいいかな?」

「……」

「深瀬くん?ね、わたし達…」


…うそ。


深瀬くん、気を失ってる?!


さっきから背中にかかる重圧が半端ないなと思ってたら意識がなかったの?!

どどど、どうしよう…!


「この隙に逃げようなんて考えてねーよな?」

「──っ」

「残念ながら澤田や晋の為じゃなく、深瀬をやる為に参加してる奴もいるんだよ」


なんて奴ら…!

深瀬くんは一秒でも早く病院に連れてかなきゃいけないってのに!


「深瀬くんはもう意識がないの。これ以上は無理でしょ?」

「あ゛あ゛?!」

「なに寝ぼけたことほざいてやがる」

「深瀬が無理なら最初の話通り、おめーが相手してくれるんだろーな?」


はあ?!?!?!


「やっ──」


深瀬くんを背中に抱えているというのに、容赦なく胸ぐらを掴まれる。


重い、痛い、苦しい。


嫌な感情ばかりが巡り、頭がパンク寸前。

呼吸をするのも忘れてしまいそうになる。