「晋さん、俺らずっとあんたについてきたんだよ。澤田よりもあんたを慕ってた」

「そうだよ。俺だって晋さんに憧れてたんだ」

「今の、マジで言ったんじゃねーよな?冗談だろ?」


皆の視線が晋に集まる。


後ろ姿からはどんな表情をしているかわからない晋。

北栄事情なんて他人事なのに、なぜかわたしまで緊張していた。


「くだらねぇことほざいてんじゃねーよ。てめぇら相手に冗談なんか言うかボケ」

「「「「「──!!!」」」」」

「…お前、思ったよりバカだな」

「くそ北栄のトップほどじゃねーよ」

「…上等だ」

「──!!」


張っていた糸が切れたかのように、一瞬にして戦闘が開始された。

晋も澤田も、本気で殴り合っている。


それを見ていた不良達も晋に裏切られたからか、怒りを彷彿とさせ晋に殴りかかる。


「くそ野郎!死ねや!」

「くたばれボケ!」

「てめぇなんか澤田に一生勝てねーよ!」

「晋さん!嘘だって言ってくれよ!」

「俺はやっぱり晋についてくぜ!」


各々が各々で動き出す。


始めは晋の方が澤田より優勢のように見えていたけれど、北栄陣ほぼすべてを敵に回してしまった晋。


圧倒的な人数の多さですぐに形勢は逆転。

晋が反撃する隙がなくなっていく。