わたしのせいで茉希だけじゃなく、他の生徒にまで危害が加わったらたまったもんじゃない。


怖いけど、心底怖いけど、わたしが行くしかない。

わたしが行くのが最善なんだ。


「大丈夫なわけないよ!大体あの人らが咲良に何の用があるの?!」

「大した用じゃないよ、きっと。だから大丈夫。茉希は早く行きな」

「咲良…っ!」


繋いでいた手をほどき、茉希の体を半回転させ背中を押す。


「心配しないでよ。すぐに終わるから」


目が潤んでいる茉希にピースサインを残し、わたしは北栄陣に乗り込んだ。


校内はすでに北栄の生徒でいっぱいになっていた。


今頃やってきた先生達の声が聞こえたけれど、北栄陣にもみ消されたのかすぐさま聞こえなくなった。


「おい、てめぇ、逢川っつー女知らねー…」

「わたしだよ」

「おっ…。本当だな?」

「ひゅーっ!逢川はっけーん!」

「多分ね。あんたらが探してる『逢川』かは知らないけど、わたしは逢川咲良だよ」

「深瀬はどうした」

「知らない」

「てめぇ!ホラ吹いてんじゃねーぞ!」

「いった!やめてよ!ほんとに知らないんだから!」


知らないって言っただけで髪の毛引っぱるなんて!凶暴すぎでしょ!