「まさか俺のことか？」

「まさか？！もちろんですが！」


えええ？！　

あと誰がいるのよ！もしかして今まで他の人を呼んでるとでも思ってたの？！

だからずっとシカトしてたの？！


それこそまさかでしょ！


「俺の周りうろつくなら俺の名前くらい知っとけっつーの」

「いや、名前くらい知ってますがな。深瀬圭悟くん」

「知ってんならなんで変な呼び方すんだよ」


う、うわ、これは本気っぽいぞ。


…深瀬くん、わたしより恋愛のこと知らないのかな。…知らないんだろうな。


「なんでって、好きだからでしょう」

「お前、ふざけんのも大概にしろよ」

「ふざけてる気は全くありませんが」

「…どっかからの差し金か」

「…はい？」


さ、差し金、ですか。


真面目な顔でわたしに問いかける深瀬くん。

ふざけてんのかとわたしが思えるくらいだわ。


「女に引っかかる程馬鹿じゃねぇ。諦めて帰れよ」