「あのボロボロの格好で俺に逢川を頼むとか、いい根性してやがる。あんな女のどこがいいんだか」

「それはお前が一番わかってんだろ?」

「ぶっ!ばっ、馬鹿じゃねーのか?!んなわけね…」

「逢川が北栄の奴らに連れ去られたって俺が言った時のお前の顔、すげぇもんだったぞ?」

「はあ?!それは澤田がナメた真似しやがるから…」

「一緒にいた奴らの中で、一番先に駆け出して行ったじゃねーか」

「だ、だからそれは」

「あれ見てお前ら二人、本気で付き合ってるんだってわかった」

「はあ?!」

「俺の出る幕じゃなかったんだよな。つーか俺じゃ逢川を守れねーわ。お前がしっかり守れよ」

「てめぇ、さっきから何ほざいてやがる!頭おかしいんじゃねぇのか?!」

「ここ、すげーいい場所だな!俺も明日から屋上で飯食うわ!」

「おいこら森谷!聞いてんのか?!馬鹿言ってんじゃ」

「俺の名前は森野だばーか!馬鹿はてめぇだ!ちゃんと覚えやがれ!」

「あ゛あ゛?!どっちでも同じだこのくそ野郎─」


──その時予鈴が響き、わたしは急いで屋上を後にした。