な、なんで森野が深瀬くんを探してるの?


「話してぇことあってさ。知ってんなら教えてくれよ」

「森野が深瀬くんに?あんたら仲良かったっけ?」


春奈が不思議そうに訊ねる。

そりゃそうだよ。誰もが思うわ。今までわたし以外、男女問わず深瀬くんに近づこうとする人なんていなかったのに。


森野、深瀬くんに一体何の用があるの?


「そういう問題じゃねーんだよ。逢川、知ってんのか?知らねーのか?」

「…知ってると言えば知ってるけど、確実性はなく、いなくても責任は…」

「なんでもいいから!昼休み終わっちまうから、早く…」

「こっち!」

「え?」

「急いでるんでしょ!多分こっちにいるから早く!」

「お、おう」

「「行ってら~」」


深瀬くん、きっと屋上にいるだろうけど、屋上って伝えたところできっと森野一人じゃ行けないから連れていくしかないっ!


深瀬くんに何の用があるのかなんて、わたしは知らなくてもいいことだもんね!森野なら屋上を悪用はしないだろうし!


時間がなく屋上は立ち入り禁止の為、急ぎ足で向かう。


「森野!昨日はありがとう!」

「は?何がだよ!てか走らなくても」

「森野のお陰でわたし今生きてるんだよ!いくら感謝しても足りない!本当にありがとう!」


お礼しか言えない自分がもどかしい。心から感謝してるっていうのに。