半ば諦めてたから余計に嬉しいな。

深瀬くんと連絡を取り合えるんだ。そうしたら、好きって気持ちにもっと近づけるかも。

もっともっと、恋する乙女に近づけるかも。


これで家でも寂しさを感じなくなるといいなぁ。

そして、深瀬くんのことをもっとたくさん知れるといいなぁ。


「ねぇ咲良、数学の授業の時どうしたの?深瀬くん絡み?」


昼休み。


いつもは五、六人で教室でお弁当だけど、今日は学食組がいて茉希と春奈と三人での昼食となった。


それを良いことに二人は微妙ににやけながら、戸惑うことなくわたしに問いかける。


「数学?」

「いきなり騒いでたでしょ」

「あ、あれか。…んー、そんなとこ」

「何よ何よ!教えてよ!」

「何があったの?!」

「え、聞きたい?」

「「当たり前でしょ!」」


あわわ。二人の興奮具合いがハンパない!


そこまで大した内容じゃないと思いますが…。わたしにとってはもちろん大きかったけれども。


「…深瀬くんが電話番号教えてくれたの」

「「─えーっ!!!!!」」


二人は椅子から立ち上がり、全身で驚きを表現する。