…バカ森野。


わたしのことなんかほっとけば良かったのに。

わたしみたいな救いようのない汚い女、知らんぷりすれば良かったのに。


どんなことをしてくれたって、わたしは森野に同等のお返しなんてできないんだよ。


「─ん?」


横から小さな紙が放られてきた。

顔を上げ周りを見渡すと、考え事をしているうちにすでに授業が始まっていた。


この紙は一体どこから…って、わたしの隣は深瀬くんしかいないんだった。


深瀬くんから何かアクションがあるなんて初めてかも。なんだろう…


「──!」


─こ、これは…!!


紙に書かれていたのは11桁の数字。

0から始まるこれは、紛れもなく深瀬くんの電話番号!!!!!


ままままさか、教えてくれるなんて…!!


大げさに深瀬くんの方に顔を向け、にやけを必死で抑える。


「ふ、深瀬くん、これ、」

「昨日みてぇなことがあったら、探すの面倒なんだよ」

「じゃ、じゃあ、やっぱり深瀬くんの番号なんだよね?」

「あ?金沢のだ」

「─えええ?!?!?!」


金沢くんの番号って!!