学校が近づくにつれ生徒達が増えると、ちらほら視線を感じるようになる。

女子が深瀬くんに向けるピンクな視線や、男子の好奇な目。


まぁでも付き合ってるとか噂になっちゃってるし、気にしないで二人で行ってもいいよね?

いやむしろそうしないと!


わたしという彼女らしき女子がいるって他の女の子達にアピールしとかなきゃ!ライバルなんていらないのよ!


…でもさすがにいくらわたしでも、ここでダーリンとは呼べないな。


「深瀬くん、今日も髪型はそのまま?」

「てめぇに関係ねぇだろ」

「あるある!めっちゃある!」

「はあ?」

「もうね、わたし以外の前では立てていていいよ。というか立てて。はい、約束」

「マジで意味わかんねぇこの女」

「意味わかんなくてもなんでも約束だからね!破ったら恐ろしいぞ~」

「知らねーよ!っとにうぜぇな!」

「あ!なんならわたしがセットしてあげようか!」

「いらねーよ馬鹿野郎!」


…あれ?おかしいな。

これじゃ周りに彼女アピールできていないような…。

むしろそんな仲良くないってことを伝えているような…。


「おはよー咲良!」

「おっ!春奈、おはよう!」