玄関に立ち尽くし、さっきの庄司さんの言葉を反芻させる。


『圭悟様の心の傷は浅くはありませんので』


──深瀬くんの浅くない、心の傷。


浅くないということはほぼ深いということで、それはつまり、深瀬くんは心に深い傷を負っているということ。…だよね?


……どんな傷なんだろう。


何があって深瀬くんは傷ついているの?誰かのせいで深瀬くんは傷ついているの?


庄司さんの言うようにその傷をわたしが癒せるのなら、もちろん何だってしたい。

差し出がましいけど、少しでも役に立ちたい。力になりたい。


……わたしは深瀬くんの為に何ができるのだろう。


なんでもいい。


ほんの少しでも彼の力になりたい。





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「ダーリン!」

「…朝っぱらからうぜぇ奴」


家を出て深瀬くんの姿を見つけ、はしゃぎながら駆け寄る。


だって深瀬くんがいなきゃ家から出ないつもりだったんだもん。

昨日の体験がトラウマになりそうなくらい、恐ろしいものだったから。