な、なんだこれ。こんな車、初めて乗ったよ。中も高級感でいっぱいだわ。


広い上にシートは今まで触ったことがないような素材。物怖じするくらい、身分の違いを感じてしまう。

これ、庶民が乗っていい車じゃないよ。ビビりすぎて居心地が良いんだか悪いんだかわからない。


窓ガラスはフルスモークだし、わたし、確実に浮いて…


「──」


これって…。


「ご自宅まであまり距離がございませんので、どうぞお早めに。何かご用がありましたら、仕切りにございます小窓を開けてお伝え下さい。それでは失礼致します」


バタンとドアが閉められる。

運転席と仕切りがあり、一人になった広い空間。


まさかここに、新品の制服があるなんて…。


「…」


ビニールに包まれた、整った制服を手に取る。

ブレザー、ブラウス、リボン、スカート…。


深瀬くん、ここまで考えてくれてたの?

わたしの為にここまで…。


…胸が、痛いくらいに熱くなる。


目に涙が滲むのを堪えながら、わたしは封を開け制服の感覚を噛みしめた。