「で、でも…」


こんな高級車に喜んで乗れる程、心臓強くないんですよわたし!


こんなご立派な殿方と二人きりでいられる程、心臓強くないんですよわたし!


「この度は圭悟様が原因で、何か被害に遭われたのでしょう?」

「──。」


それ、は、たしかに、そう、だけど。


でも、本当のところは自業自得なんです。


「圭悟様のご説明では何があったか詳細など私にはわかりませんが、圭悟様に否があるこということは伝わりました。謝って済む問題ではないかもしれませんが、本当に申し訳ありませんでした」


さっきの笑顔とは正反対に、真面目な顔でわたしに謝罪の意を示す庄司さん。


庄司さんは何も悪くないのに─…。


「いえ、それは深瀬くんが悪いわけでは」

「それでも私は圭悟様からあなた様をご自宅までお送りするという命を受けております。どうかお乗りいただけませんでしょうか」


……。


「…じゃあ、お言葉に甘えてお邪魔します」

「ありがとうございます!」


満面の笑みを向ける庄司さん。


わたしは庄司さんへの罪悪感でいっぱいになりながら、恐る恐る車内に足を踏み入れた。


「う。わ。」