しっかし、こう言っちゃ失礼だけど意外だわ…。想像もしていなかったもん。


「こっ!こちらこそ!逢川咲良と申します!よろしくお願いします!というか、いいんですか?送ってもらうなんて」


って挨拶してる間に深瀬くん、もういないし!


「勿論でございます。圭悟様の大切なご友人ですから」

「兄貴!俺も咲良と一緒に送ってくれよ!俺だってご友人だろ?」

「悠大様。大変申し訳ありませんが、逢川様のみという命でございますので、今回はご遠慮下さいませ」

「はー?!」

「あほ金沢。あたりめーだ」

「行くぞあほ金沢。じゃあな逢川」

「えっ、あ、うん、ばいばい…」

「俺はあほじゃねえ!」


赤城くんと緑川くんに引きずられていく金沢くん。


遠くなっていく三人に軽く手を振る。いまいち状況を飲み込めていないわたしは、表情が固くなってしまっていた。


「それでは逢川様、どうぞお乗り下さいませ」

「あ…」


後部席のドアを開け、庄司さんは笑顔でわたしを誘導する。


断るわけにはいかないし断りたいとも思わないけれど、サラッと受け入れることもできない。深瀬くんがいないのにわたし一人送ってもらっていいのかな。


そんな風に躊躇しているわたしに、庄司さんはすぐさま気づく。


「逢川様、遠慮は無用です」