「ここは俺らのたまり場だから安心しろよ。あいつら、ぜってー誰も逃がさねーから」


荒い呼吸を繰り返す金沢くん。


相当急いでくれていたんだろう。

プラスわたしの体重…じゃなくて、わたしを守りながらだったから、かなり疲れたと思う。


「…うん…」

「…大丈夫か?」


テーブルを挟んでソファーと対面してある椅子に座り、わたしを心配そうに見つめる。


気が緩み少しぼうっとしていたけど、金沢くんの顔を見てはっとする。


「うん。ギリギリ大丈夫。そこまでひどいこと、される前だったから。皆のお陰だよ。本当に、ありがと…」


最後まで言い切る直前で涙がこぼれた。

バレないようにと俯いたけれど、却って逆効果だったかもしれない。


金沢くんは何も口にしなかった。


…きっと、少しは薬が体内に入ってる。


注射器の針は確実に刺さっていたから。


でも今正常でいられてるのは、みんなが助けにきてくれたから。


そうじゃなければ、わたしは命を絶っていたと言っても過言じゃない。それか薬のせいで狂っていたかもしれない。

考えるだけで恐ろしい。


本当に本当に、どんなに感謝をしても足りないくらいなのに、言葉に詰まって何も言えない。


ただ、涙がこぼれ落ちていく。