「赤城!てめぇ裏切る気かよ!」

「俺は元から澤田になんかついてねーんだよ!」

「なんで深瀬についてんだよ緑川!いつから深瀬の犬になり下がったんだ!」

「澤田に比べりゃ深瀬の方が面白れーからな!つーか誰の犬にもなるわけねーだろボケ!金沢!逢川連れてどっか行け!」

「わーったよ!咲良、行くぞ!」

「わっ!」


金沢くんはわたしを軽々と抱き上げる。


突然のことで驚いたけど、皆の中では小柄な方なのに、やっぱり金沢くんも男の子なんだな…と、妙に感心。


今はそれどころじゃないって言うのに。


「金沢!このくそ野郎!んなことして、タダで済むと思うなよ!」


教室を出る手前で行く手を阻まれる。


ど、どうしよう!わたし、降りた方が…


なんて思いつつも、わたしは無意識に金沢くんにしがみついていた。


だって、未だに体が強張っているんだもの。


深瀬くん達が来てくれたことで思考は暢気にするようにしているけど、体の中の恐怖感は消え去ってくれない。


「どけ!!」

「うおっ!」


わたしを抱きかかえながら、金沢くんはためらいなく相手に蹴りを入れる。


す、すご…。


金沢くん、深瀬くんには負けるけど普通に強いよ。頼もしい。


それから赤城くんや緑川くんの援護を受けながら、わたし達は会議室から離れた。


何かの狭い部室のような所に入ると、なぜか中にはソファーが置いてあり、そこにわたしは下ろされた。