「てめえ!あいつをどこに…」

「…だー…りん…」

「──!」


息を荒くしながら澤田に怒鳴りつける深瀬くん。

わたしと目が合った途端、みるみるうちに鬼のような形相に変わっていく。


「──!!!」

「きゃっ…」


わたしの上に跨がっていた男を深瀬くんは力のまま殴り、男は勢いあまって脇に倒れ込んだ。


「咲良!大丈夫か?!」

「か、金沢く…」


わたしに駆け寄る金沢くん。

起き上がると、続けて来た赤城くんが、自分の制服のブレザーをわたしの上に落とした。


「てめぇら全員ぶっ殺す!!」


深瀬くんの怒鳴り声が、教室中に響き渡った。


「どうやってここだってわかったの?ていうかそんなキレてるってことは、マジでこの女に本気なんだ?」

「黙れ澤田!!お前の顔は二度と見たくねぇ!!」

「うわ、あの深瀬が女一人の為にマジ切れ?あはは!世も末だなー!意外…」

「うるせぇ!!!」

「──!!」


深瀬くんが澤田の頬を目に見えないほどの早さで殴り、澤田は近くにあった長テーブルに大きく倒れ込む。


その騒がしい音が合図かのように、わたし以外の全員の戦闘が開始された。


至る所から雄叫びが聞こえ出す。

わたしはその場から動けずにいた。