「おら」

「晋さん、ありがとうございます!」


晋という男がわたしを囲む男達の一人に、注射器のようなものを渡した。


それを見た瞬間、一瞬にして血の気が引ける。


同時に、わたしの上に男が跨がった。


さらに恐怖心は募り、涙が溢れ、感情も感覚も押し殺そうと頭を真っ黒にしていく。


乱暴に制服を脱がされ上半身が下着だけになった時、その注射器が近づいてきた。


──怖い怖い怖い怖い──っ!!


「イヤ、やめて、やめて…」

「タダで打てんだ。感謝しろよ」


注射器の針の先端が肌に触れる。


これほどまでに恐怖を感じたことはない。


こうなったら、舌を噛みちぎって自ら死のう。


そう、思った時──。


「澤田!!!!!」


──けたたましい音と声。


ドアを蹴破る音と共に現れたのは、願ってやまなかった深瀬くん、そして信号機三人組──。


「深瀬?!」

「マジかよ」

「なんであいつが…」

「あれ?まさかの深瀬の登場?」


不良達が動揺する中、一人半笑いの澤田…。


─信じられない。


まさか、深瀬くんがここに来るなんて。


夢?願望がリアルに見えているだけ?本当に、あの深瀬くんなの?