耳を塞ぎたくなる会話達。思っていた通りの展開。


深瀬くんを好きになると決めてから、こうなる可能性は大いにあった。

それでもわたしは深瀬くんを追い回すことをやめなかった。


だから自業自得なのに、どうしてこうも震えが止まらず、覚悟が決められないのだろう。


これから行われるであろう陵辱。それよりなら死んでしまえた方が確実にマシだと思える。


暴力は慣れてる。でも、レイプは耐えられない。もう殺してよ。

深瀬くんとだって、何もしてないんだから…。


「──やっ…!触んないでよ!」


後ろ手に縛られているせいで、軽く押されただけで仰向けに倒れ込んだ。


恐怖心からか涙が滲んでくる。


助けを求めても無駄なのに、誰かが来てくれることを願う。

何か奇想天外なことでも起こって、このシチュエーションが変わってくれることを強く祈る。


─森野、警察に通報でもしててくれてないかな。や、それより無事なのかな…。


─深瀬くん、わたしのことなんて気にもしないで帰っちゃったかな。探したり、するわけないか…。


「おい澤田ー、薬はどうすんだよ」


え、く、薬って、まさか…!


「抵抗するようなら打てば?別に最初から打っちゃってもいいけど。晋、出しといて」

「ああ」


澤田に従い何やら用意し出したのは、さっきの運転手…。


ずっと澤田の後ろにいて何の反応もしてなかったけど、この人、クールな顔して何を考えてるんだろう。


ていうか、お腹が痛すぎて抵抗なんかできないって。一撃でここまで痛いとか、北栄のトップもダテじゃないんだな。内蔵破裂したかと思ったわ。