あんなに純粋で不器用で心が優しい深瀬くんとあんたが、比べ物になるもんか。


どうせ助けなんてこないんだ。


それなら無駄に足掻くより受け入れるしかない。でも何もせずに全てを澤田の好きにはさせない。


プライドをへし折ってやるんだ。

深瀬くんを侮辱したこと、絶対に許さないんだから。


「…へぇ」


余裕ぶってるけど、笑っているようで笑っていない。腹の中は相当イラついているんだろう。


「大体、深瀬くんはこういうこと、考えもしないと思う。そうだ、一つだけ勝てるとしたら悪知恵くらいじゃない?あと卑怯なところとか!それなら勝てるかもよ?」

「このアマ!ぶち殺す!」


澤田の周りの男達は、今にも血管が切れそうな勢いの人ばかり。


殺せるものなら殺せばいいじゃない。

だけど、ただ黙って殺されるもんですか。


「深瀬くんにはどうやったって勝てない!負けを認めるのはあんただよ!」

「…その様子じゃ、深瀬を捨てて俺のところには来ないってことかな?」

「当たり前でしょ!誰があんたの女になんてなるか!死んでもイヤだわ!見た目だけで中身はそこら辺にいる害虫より小さい男の奴隷になんて、何がなんでもならな…」

「──!」

「─っ、痛った…!」


表面上は笑っていた澤田が無表情になり、わたしの頭頂部の髪の毛を鷲掴みにし、後ろに引き下げる。


絶対何本か髪の毛抜けたよ!最低!!