この人の思考回路を読むことなんてできないから、わたしは聞かれたことに答えるしかない。


周りをよく見ると、教室の中には何人もの不良達がいた。

わたしをガン見する人や、興味ないといった感じで煙草をふかす人、ゲームをしている人など様々。


わたしと澤田の会話を気にしている人は約半数くらいか。

信号機三人組みたいに、そこまで澤田を慕っていない人もいるのかな。ここに三人はいないか。


いたら助けてくれたかな…。


「ふ~ん…。今まで女といたことがない深瀬が君と一緒にいるってことは、あいつも相当君が好きなんだろうから、真面目に付き合ってるんだろうね。俺からすれば好きだのなんだのって、くだらなくてどうでもいいけど」


…何を考えているんだろう。   

ていうかわたし、この場で付き合ってないだの事実を言うべき?


別にここではいらないよね?できるだけ喋りたくないし、なんなら空気が悪すぎて呼吸すらしたくないんだけれども。


「そうであってほしいけど、こんなことをしたって深瀬くんは来ないよ。わたしを人質にしたって無駄」


やだ、声が震えてる。しっかりしなさい咲良!


「ふっ、あははは!」

「え…」


な、なんで笑って…


「勘違いしてるようだから言っとくけど、深瀬は元から来ないよ。ていうか来なくていいし。君がここにいることも知らないよ、彼。だから誰も助けには来ない。君を囮に深瀬を呼び込もうとしてるわけじゃないからね」

「じゃあ、わたしに何の用…」

「深瀬を捨てて、俺の女になると誓え」