「ふ~ん。そこら辺にいる子と特に違いがわからないけどな。君、深瀬とは長い付き合いなの?」

「…」

「ぷ。そんな怖がらないでよ。深瀬の女がどんな子か気になるだけだから安心して。とって食ったりしないから。今のところはね」


ぱっと顎にあった手を離される。


…優しそうに笑ってるけど、目が笑えていない。


深瀬くんも人を殺してそうな雰囲気のかっこよさがあるけど、この人にも同じような印象を抱く。


でも、深瀬くんとはどこか違う。

表情もさることながら、口調も淡々としていて感情がない。


この人、きっと根っこから腐ってる。温かみを微塵も感じないもの。

綺麗な、心がない人形のよう。


「…長くはないかな」


怖さを封じ込め、声を絞り出す。


会話くらいしっかりしなくちゃ。

冷静に、平静に。とりあえず落ち着こうわたし。普段の咲良を思い出して。


大丈夫。

夜にはちゃんとベッドで寝られているはずだから。


「あ、そう。じゃあ俺の方が長いかな。で、深瀬のこと本気で好きなの?深瀬も本気で君が好きなの?真面目に付き合ってんの?」


興味津々といった面もちで、わたしを見つめる澤田。

この人、一体わたしに何を求めてるんだろう。軽く取り調べじゃないの。


「わたしは本気で深瀬くんが好き」